幸せを呼ぶ認知症 ~認知症の父との会話メモより~

認知症だった父の言葉です。どんなにパニック状態でも話していると次第に落ち着き、これからの人(祐子さん)に向け、愛と情熱をこめ話してくれました。それらの言葉は忘れてはいけないと思い数冊のノートや紙切れに記録しています。認知症は大変だけれど、不幸ではない。これらの言葉があなたの人生の助けになりますように…

みんながかたまって一つの力になる。そうなったら大したもんぞ(認知症の父との会話メモ~2015年3月7日~)

2014年末頃の父の様子はこちら

 

よかったこれで、電話があった

祐子から電話があったら元気になる

 

(日頃、していることに対して)そういうことはいいこと

祐子は素晴らしいなぁ

楽しむこともあるし、分かり合える

 

演劇みせるだけ

みんながかたまって一つの力になる

そうなったら大したもんぞ

そういう気持ち やる人も持っとったらいい

 

祐子じゃったら上等よ

 

疲れたり、困ったことがあったら 気分転換したらいい

桜も咲く、寝るところもある(実家のこと)

しんどくなったら来てみいや

元気になるから

気分転換したらいいわい

嫌なことがあったり、辛いことがあったら

気分転換したらいいわい

 

嬉しいこともあったが、時々悲しいこともあった

 

祐子は偉いわい

 

何かあったらいつでも来いや

 

 

 

父とよく散歩したふるさとの桜

 

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こないして、励ましあうのが一番いい(認知症の父との会話メモ~2015年3月6日~)

2014年末頃の父の様子はこちら

 

祐子の言葉しっかりしとるけん

祐子の声聞いたらがんばらんといけんと思う

祐子の電話かかったら元気がつく

祐子はお薬みたいなもん

          なんとなくがんばっとるなー 嬉しい

祐子の声 励ましの声  嬉しいわい

 

電話してもらえるから、私としては楽しい、嬉しいこと

こないして、励ましあうのが一番いい

 

嫌な気持ちが沈んで明るくなる

電話してもろて嬉しい

 

お互いに一緒に明るい人生送りましょう

 

この人(多分、母のこと)も励ましてあげてや

住んどる家鉄道の近く

 

祐子が来たらもっと幸せよ電話もかかったら嬉しいよ

 

祐子がやっとることがいいから

励ましてあげたいわい

 

また 元気になったら電話くださいね

 

 

 

 

 

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朝焼けの空

 

真心が響きあう豊かな日でありますように…

自分が自分を豊かにする(認知症の父との会話メモ~2015年2月25日~)

2014年末頃の父の様子はこちら

 

自分が自分を壊すようにするけん

そういう構えでおったら、余裕がなくなる

反省ばっかりして、自分で自分を責める

自分が豊かにするのが大事

 

自分がガリガリ考えたら、自分で自分を壊す

 

大きな息をした方がいい

 

なるほど、なるほど思うてやりよる

苦労したけん、それがよかったんじゃない?

 

自分が自分を鍛えんといけん

悩んでばっかしおったら、自分で自分を殺すようなもの

 

祐子いいこと言いだしたなぁ

 

自分が自分を豊かにする

 

二人でやってこやー

良くなるのも、悪くなるのも2人の協力がないといけんわい

 

呼吸して、自分を見直す

落ち着かんといけん

 

 

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朝焼けの空 

 

 

 

認知症の父との会話メモ(2015年2月22日)

何でもいいけど一生懸命やる方が後で良かった。

乗り切った後、克服したら楽しいわい。

 

特別、がんばる必要はないけど

今やっとることを真剣にやる

段々みんながなっ

疲れるけど一生懸命やるのがいい

 

つまらんことだけ

がんばるいうかなぁ そういう程度で上等

 

「これはやったー」ということを重ねていったら

ひとつひとつ

 

祐子は大丈夫

 

 

 

 

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認知症の父との会話メモ(2015年1月16日)

この頃の父の様子はこちら

 

祐子がおったら元気にならざるをえない。

 

(私がカウンセラーの仕事をしていると伝えると)

そりゃ、ええと思う

 

何かをやっとかんとボケてくらい

 

今までは、枠の中に決まったことしよった

 

これから家をなーキチンとせんといけん

そういう中でがんばっていかんといけん

生活せんといけんから収入も得んといけん

 

(カウンセラーという仕事に対し)

そういうことしよるんはいいことよ

暇があって、自分を新しくしたい時には(大洲の実家に)来いよー

 

祐子から電話があったら元気が出るよ

祐子はこれからよ

 

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認知症の父との会話メモ (2014年12月12日➄)

 

この頃の父の様子はこちら

 

 何かしようとする気分があるのがいい

 

中学校終わる頃劇をした

やる気になって 幕が開いたら 一生懸命

やったー!気持ちになった

 

それって二人にとってもいいんじゃない?

(娘が高校で演劇をしていて、県の虐待防止演劇に出演していて、その話をした記憶があります)

それをすることに勉強になる

気分転換にもなる

 

べたべたせんけど信頼できるのが一番

(娘との関係性のことだと思います)

 

祐子じゃったら何でもやり遂げることができる

能力もあるし 自分にとって楽しくやることが成長すること

いい人と繋がることが成長することよ

 

(祐子とは)色んなこと話せる

 

色々見よったら 調べることあったら 言葉を入れたら

色んな勉強 話し合いしたり 聞いたりして自分の刺激にもなるし

それ大事なことよ

若い間はそれができるぜ

色んな人の話を聞いてみるのもいい

 

自分と意見のあう人とグループ作って勉強しよった

話の中でだんだん成長していかい

 

本を読むこともそうじゃ

「ああそうかあー」 励まされた

 

自分で進んでいこうとしている

成長したい想いはある

 

ぶつかっていかんといけん

くしゃっとなることもあるが まだやるのが若い時代

 

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認知症の父との会話メモ (2014年11月某日④)

この頃の父の様子はこちら

 

祐子の電話待ちよった

 

祐子の方がえらいよ

 

時々、祐子が小さい頃 来たことがある。

(幼い頃は大洲にはいなかったので、記憶が混濁している)

楽しく遊んだんを思い出す

 

ここにおる人(母のこと)と一緒にくらしよるんよ

(母を認識できる時とできない時があった)

 

祐子に教えてもらわんといけん

 

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父が施設に入ってから、父にしてもらったように母はマッサージをしてあげていました 

 

 

 

認知症の父との会話メモ (2014年11月某日③)

この頃の父の様子はこちら

 

ああ、祐子かぁ

 

マッサージ

リハビリいれて、どの分がどうじゃでやりよる

ただ足をもむだけじゃなくて、コツがあるんよ

そういうリハビリに行きよるけん、そこで教えてもらうだけよ

 

(この頃、週に一度、デイサービスセンターに通っており、そのことを話しているのだと思います)

 

行きとうて行きよるわけじゃけど、足を伸ばしたり 縮めたりしてやりよる足の裏もすっとしていい

(理学療法士や職員がマッサージをしてくださっていたようです)

 

ほじゃが「気の流れ」動かんとこがある

刺激して全体を動かす

足の面白いことやったら  足の裏 指で押さえよる

今までたるんどった血流が流れる

 

祐子はやっぱ頭ええのーよう知っとらい

(父が「気の流れ」と言ったので、「気の流れ」について、私も何か話したのかな)

 

眠りにつくまえに あんなことをするとお互い体元気になる

(父は寝る前に母をマッサージしてあげていたようです)

 

さすが祐子じゃええこと言うが

(言葉や思考以上にマッサージのように体と体が触れ合うことの大切さについて言うたんだと思います)

 

色んなことやっていくうえで  学ぶことがいいことがあると思うよ

 

俺も祐子で助かっとるよ

 

祐子のがんばりはちゃんと考えてやっとるし、気持ちがええわい

 

楽しいことやろうと思ったらいつでもおいでや

 

祐子は素晴らしいわい思い切ってやれよ

楽しみにしとるよ

 

祐子に負けまいと思ってがんばろうと思う

お互い刺激しあって成長できる

 

楽しくやれよー

 

 

 

 

認知症の父との会話メモ (2014年11月某日②)

この頃の父の様子はこちら

 

自分がしっかりしとるしかない

祐子も仲間がおるんじゃけんええんじゃない?

 

仲間もわんわんおるわけじゃない

 

自分もしっかりせんといけんけど、全部がんばることはできんけん

仲間つくるのが一歩

 

難しい世の中やからまずは自分のまわりから

 

祐子はこれからだんだんのびていくと

もっと、のびると思う

少しずつやけど

ぱーっとではないが

 

自分を大事にしてがんばれよ

 

いつでも困ったら遊びに来いや

祐子からの電話あったら元気になる

 

祐子の話聞きよったらこっちもしゃんとせんといけんと思う

 

いい方向にいっとると思うて、じゃけん応援せんといけんと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

認知症の父との会話メモ (2014年11月某日①)

この頃の父の様子はこちら

 

声が素晴らしい 

 

私「声はきれいって言われるんよ」

 

その通りじゃ

 

私「癒される声と言われることもあるよ」

 

さわやかな声

えーことじゃ

 

色んなことで慌てたり、落ち込んだりする

おうちでごちそう食べよる

気分転換にはちょうどいい

 

祐子の働きでそうなった

祐子の影響が大きいんよ

 

芯になる人がおらんと盛り上がらん

祐子も進歩していきよらい

今の年齢でそれが大事

私としては嬉しいわい

困った時、嬉しい時、うちに来るの遠いかもしれんけど

いつでもおいでや

 

祐子の姿見たら喜ばい

 

のびのびすることが大事やけんね

祐子はぼ~っとしとるだけじゃなく、しっかりしとる

 

まだまだ、これからがあるけん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

認知症の父との会話メモ (2014年11月12日)

この頃の父の様子はこちら

 

2014年11月12日

 

ごはん食べるって座ったとこ

豆腐、マグロの刺身、サラダ、ごはん、二人で努力してやりよる

色々細かなおかずになるように買って

ひまわり(デイサービスセンター)では、リハビリをしてくれる職員に教え子がいる

普通に栄養もとれtて、湯豆腐も美味しい

 

難しいこと克服したら人間も変わる

中学前後勉強した方がいい

外でやる方が自分を鍛えることになる

先生とも気持ちようやることよ

こっちからぶつかっていくしかない

 

私が中学生の時「しゃんとせんか!」先生に言うた

段々親しくなった

お互い話して親しくなった

門閉じるだけでなくて、ぶら下がっていく

「ゆうこやったら何でもできる」

「ゆうこは絶対やると思う」

「基礎はしっかりしとる、自分が前進していくことよ」

 

ほたらある時いいの見つけて 読んでいったら成長する

楽しいから一歩進むのは

本の中に滲みこんでいくような本

物語から色んなこと

とにかく、本売りよるところによって眺める

これは面白そうというのを選ぶ

物語読み出したら…手当たり次第に読んで自分で楽しみよった

一緒におりたくない、見る目ができとる

自分で話しても気持ちがいい

お互い高まるようにぶつかって  あー それが勉強になる

あーそうか 思って、むこうも開く

段々話すうちにお互い

またねー

今日は話せて嬉しかった

 

父の遺言

なぜだか分からないけど今日の父の言葉は遺言のように感じました。

 

渾身の想いを込めて父が話していたからかもしれない。

 

ふと三年前の

 

メール読みました。

 みなさん元気で、よかった。

 

 ばあさんと 祐子のことを思い出して 懐かしく思った。

 そして、祐子のがんばりに驚嘆している。

 それだけでなく、意義のある仕事をしていることにエールを送りたい。

 

というメール読んだからかもしれない。

 

この時はメールでやり取りができた。

今はメールどころか、テレビのリモコンさえも操作できない。

 

認知症の父にいつものようにコールした。

 

 

123回…

 

 

なかなか出ない。

 

 

そんな時は父がパニックになって

 

 

母もどうにもこうにもできなくて 立ちすくんでしまっている時が多い

 

 

101112回…

 

 

私も覚悟して誰かが出るのを待つ

 

 

「もしもーし」

 

 

やっと父が出る

 

 

「こんばんはー。yukoよ」

 

 

私の中の一番明るい私で言う

 

 

「あー yukoさんかぁ」

 

 

喜びと安堵が混じった声で父が言う

 

 

思ったよりも明るく元気だったので私も少しほっとする

 

 

「いつもありがとうね」

 

体のこととか心配だけれど 私の心配が父にうつるといけないので あえて体のことはきかずに 父が朗らかでいられるよう感謝を言霊に載せて言う

 

 

すると父は

 

 

yukoと話すのはとにかくうれしいんじゃ」

 

 

と本当に嬉しそうに言う

 

 

「私も嬉しいよ。お父さんと話せて…」

 

 

父は更に言葉を紡ぐ

 

 

「あなたはこれからの人じゃ。いろんなことであなたはこれからじゃ。

 

 

 こんなに話聞きよっても楽しい。『これからがんばるぞー』という気持がうおーんと出てくる。だからがんばれ!という気持ち。」

 

 

心の底からわいてくる父独自の言い回し

 

 

「あなたと話よる間にがんばろうと思う。ありがたいことです。そやけん、心配いらんからがんばらせてください。」

 

 

「お父さんがんばりよるが」

 

 

「がんばりよるよ。それ(私と会話したこと)が頭に入って 自分が自分の頭に『しゃんとせい』と言うんじゃ。将来の望みがあるからがんばらんと。」

 

 

「あなたの声は激励の声。私の中から元気が出てくる。じゃけんあなたはいいと思いよる。」

コーチとして 娘として 人として嬉しくて涙が出そうになる。

 

 

「これからもがんばろう。良い悪いは別にして…。」

 

共ににがんばろうという!言葉にしていない父の気持ちが伝わる。

 

「いつもyukoの言葉を『そうだそうだ』と自分の体に聞かせる。自分の目を空に向けて いろんな気持が出てくる。それをごちゃごちゃ言うて自分の気持が固まる。あなたの言うことを受け取って、こうせないけんということが分かって嬉しい。誰まり話せんが自分に『そうか』思うて嬉しくなってきた。私は情けない人間ですが、あなたに教えてもらった。」

 

父の心からの喜びが伝わって 本当に良かったなぁと感じて それを創ったのは私で…父で…

何ともいえない想いがこみ上げてきて 涙ぐむ。

 

「涙が出そうなが…」

 

父に言うと

 

「涙が出るということは嬉しいことぜ。」

 

と、涙を承認してくれる父

 

「まだまだ考えんといけんことが一杯あるなーと思うた。あなたと話しよったら少しずつ分かるから嬉しい。嬉しいというかありがたいというか…自分で自分を考えることができる。
あなたが電話してくれることは非常に嬉しいこと。後で自分の気持ちを広げて、ああだ。こうだ。と考える。
あなたの話が来だしてから 随分 気持が良くなった。ありがたいことです。話も楽しかった。」

 

「私もよ。お父さん。お父さんは心の芯から聞いてくれるけん私もありがたいよ。」

 

父は思考ではなく 全身で魂で 私の言葉を感じ取って 受け取って 魂で返してくれている

 

yukoの話は自分の気持にズーンとくる。

 そりゃ、嬉しいよ。あなたと話したことは。

 

 こちらから投げ込むこともある。それを色々考えて、一晩中考える。それで自分も成長していく。きちんと自分のことが話せるのは大事。それによって成長する。あなたのおかげ。

 

今日、電話してよかった。

お互いが楽しいこと悩みを交換せんといけん。いいことばっかしでもないし、悪いことばっかしでもない。そういう中でほんとのことが出てくる。

 

あなたと話して世界が広がった気がする。

あなたの心はビシッとしとる。色々がんばったことが素晴らしい形に出とる。

 

何でも立派で良いわけではない。ガタガタしよるんがいい。そんなんですぱすぱっとはせん。それでいい。

 

自分や人に思うことが一杯ある。いろんなことがあるから、がんばってみたり、我慢したりして進む。

一斉に『こうだ』とはいかない。

 

あなたとは、なんか知らんけどスリスリスリスリと話しができる。自分の気持ちがいい。


あなたはこれからよ。ドンドン出したらいい。それによって自分も立ち上がる。

 

自然の中で気持ちよく出てくる。yukoはがんばっとるなー。と思う。

 

そして、お互いが本気で話しとる。ありったけの力で話しとる。

 

自分のことは色々あろうけど、それを空に向かって(心の中で話して) 答えがあったら嬉しい。

 

Yukoと話すは嬉しい。私もがんばらんといけんなーと思う。

 

貴方自身が素晴らしい。それでいいなぁと思うて。やっぱり嬉しい。それで頭の中がスーッとした。ウレシイナウレシイナが頭の中に入りよる。


あなたと話よったら気持よくなる。なんか力が出てくる感じ。

『がんばってやらないけん。一生懸命考え、自分の気持ちをしっかりもう少しがんばってしなさい。』と言いたい。


対等に話して気持ちよかった。ありがとう。」

 

 

傾聴などのコミュニケーションスキルも大切だが

 

技術だけでなく あり方や魂やエネルギーや想いや愛や 

 

 それらを統合した熟練された経験が必要なのかなと感じる

 

認知症という症状はあっても認知症という欠けた人がいるわけではない

 

脳細胞は一つ一つ死んでいっているかもしれないが

 

むしろその人の魂は余計な思考を通さない分 ブロックが外れストレートに感情や記憶が表出した分 浄化され 魂は清められている感覚がある

 

人としては自分に還り そういう人とコミュニケーションをとるということは成熟した人間関係なのではないかと感じることさえある

 

私と父に触発され 母も成長している

自分の不幸の原因は父といわんばかりに 誰かのせいにするのではなく

認知症の父を介護する大変でかわいそうな自分ではなく

自分が変わることで 表れてくる父が変わり 自分自身が楽になり幸せを感じられる

自分次第のひとに変わろうとしているし変わってきた

認知症は不幸ではない。認知症を不幸と思うことが不幸なのだ。

そんなことを気づかせてくれたお父さんありがとう。
魂と魂 真心と真心の対話をありがとう
そのことを幸せと言ってくれてありがとう
身をもって人生を教えてくれてありがとう
あなたの存在が私の励ましそのものです。

 

 

 

 

 

 

愛は時空を超えて循環する

認知症の父は

 

認知症なので

 

昨日言ったことは翌日には忘れる

 

父とこうして電話で話せるのもいつまでかわからないので

 

毎回のように同じ話をする

 

それは

 

私が物心ついてから今日まで

 

父が私や子供たちにしてくれたありがとうの言葉

 

「幼いころ私と遊んでくれてありがとう」

 

「手作りのケーキを誕生日やクリスマスに作ってくれてありがとう」

 

「子供たちを動物園や海や川や施設に連れて行ってくれてありがとう」

 

その他思いつく限りの「ありがとう」を父に言う

 

「おー!そうかぁ」

 

 

まるで初めて聞いた話のように

 

いつも新鮮な驚きをもって父は言う

 

認知症なので…(笑))

 

話していると

 

父に今までしてもらったことは沢山あるなーと

改めて思う

 

そんな嬉しそうな父を感じて

 

私も嬉しくなる

 

私も子供たちも父に愛されていたなぁとしみじみ感じる

私は認知症の父に少しでも楽しくいい気分になってほしくて

 

沢山の「ありがとう」を言う

 

父は今の私の愛を感じてくれていると思う

 

でもね

 

私がこんなに「ありがとう」を言えるのは

 

私がこの世に誕生してから今まで

 

父がたくさんの愛情を注いでくれたから…

 

過去の父の愛情が今の私の愛情を深め

 

その愛を感じて

 

今の父と私が愛情を深める

 

「愛のエネルギーはめぐるんだなぁ」

 

それは丁度

 

螺旋を描いて広がっていく銀河のようだと感じます

 

宇宙は外側だけにあるのではなく

 

心の中にもある

 

 

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photo by Takumi

あなたの存在自体が大切じゃ

認知症を発症して三年目の父

 

記憶障害やパニック状態になることもしばしば…

 

そんな父ですが

 

私の声だけは忘れません

2014年の冬から毎日のように父に電話しています。

 

認知症の症状は頭に入れながら

 父の本質(ハート・真心)に耳をすます

 

そうすると認知症とは思えない素晴らしい言葉が返ってきました

 

そうやって

 一年間(それ以前の電話も含めると数年間)父と培ってきた信頼が

 認知症が進んだ今もなお

 父のハートを目覚めさせます

 

「祐子と話してクリアになった」

 

「祐子と話して元気になった」

 

「祐子と話して頭がすっきりした」

 

私はメンタルコーチをしています

 

誰かのためにコーチングや心理学を学んだのではなく

自分が幸せになるために学びました

 

特に意識して父にそれらを用いたのではないのですが

自然に使っていたと思います

 

2015年12月13日の父のハートに響くことだま

 

「あなたの存在自体が大切じゃ」

 

「あなたと話していて豊かになる」

 

と父が言うので

 

「いつもほめてくれてありがとう」

 

と言ったら

 

「それがあなたの本当の姿じゃけん」

 

凹み気味だったのですが、元気になりました

余計な脳の細胞を通さない父は

いつも私のハート(本質・真心)を感じ取って

私が感情に巻き込まれて 見失っている自分自身に気づかせてくれます

機能を失うことが不幸ではなく

むしろ思考にとらわれ過ぎてハートと会話できなくなることの方が不幸かもしれないと感じました

 

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photo by Takumi